創業者の過去 その10
彼はさらに新製品の研究開発をというので、"二灯用差し込みプラグ"の考案に熱中した。
二灯用は当時、東京と京都でつくられているだけだったが、改良の余地ありとみて、幸之助は研究の結果、実用新案を取った。
そして売り出したところ、アタチン以上の大好評で、飛ぶように売れた。
するとある日、問屋の主人がやってきました。
「私は吉田といいますが、総代理店をさせてもらいたいんですワ」幸之助は内心考えた。
どちらが得策か、どちらが将来の実りをもたらすかと分析検討した。
「しかし現在のままではとても生産が追いつきまへん。
となると工場の設備を拡張しなくては、あんたのご計画にそえないことになります。
そこで保証金として三千円を提供してくれまへんか。
そうすればその金で工場を拡張して、あんたの希望しはるだけの数量を確保するようにしますがな」「なるほど、よろしおます、ほな三千円、保証金としてお宅にお預けしまっさ」話がまとまって、幸之助は"よしやるぞ!"と、その日は興奮のあまり寝つきが悪かった。